皆さんと同じように、あの日以来僕もずっと考え続けています。 3月11日午後2時46分、我々ザ・トロフィーズは3時から予定されていたリハーサルのためいつものスタジオに集まっていました。これまで全く体験した事のない激しく長い揺れをなんとかやり過ごした後で、我々はその日のリハーサルをキャンセルしてそれぞれ家路を急ぎました。正直に言いますが、地震の恐怖と、今後の不安と、家族や親戚、友人などの心配とで“とても音楽なんてやる気にならなかった”からです。 幸い全員被害は少なかったものの、それからの数日はTVの前から片時も離れられず、言いようのない無力感と涸れることのない涙とともに過ぎて行きました。自然の圧倒的な力を前にして為す術もない人間という存在の小ささ、その命の儚さを改めて思い知らされ、ほんの一瞬にして断ち切られてしまった数多くの尊い人生を想って泣き、しかし同時にそれでもなお力を合わせて困難に立ち向かい、手に手を取って懸命に生きようとする人間の強さと優しさを想って泣きました。幾度となく目蓋の裏にこれまでの人生で出会ってきた大切な人達の顔を浮かべ、そしてひたすら考え続けました。 “自分に何が出来るだろう?”と。 そんな時、弘(Vo) が自らの想いを一編の詩にしてブログにアップしました。 すると今度はそれに反応したリーダー(住吉)が、まるでそうすることがあたりまえのように曲をつけ、翌日の朝までにはだいちゃんのドラムトラックがメンバー全員のもとへ届いていました。そうやってそれぞれの自宅で各パートをレコーディングして完成させたのが、この『アリンコの詩』です。 そう、やはり我々に出来るのはまず“音楽をやる”ことだったのです。 今はただ、その“想い”が一人でも多くの人の心に届いてくれることを願ってやみません。 どうか、聴いて下さい。 ザ・トロフィーズ 松尾バンナ |
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